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ガラス工房 透千(とーち)
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蛍光灯リサイクルガラスについて

この工房では、蛍光灯リサイクルガラスを溶解しています。
ほのかに緑色を帯びた素朴なガラスが魅力です。

現在、全国のガラス工房では、珪砂とアルカリ成分などを混ぜたガラス工芸用の原料(以下「バッチ」と呼びます)を溶解している所が多いです。

蛍光灯リサイクルガラスを使用している理由を以下に挙げます。

①吹きガラスの作業をするのに比較的適した性質のガラスであること
②リサイクルを通じて社会に貢献できること
③バッチと比べても実質的に低コストで運用できること

以下項目ごとに詳しく記載していきます。
<リサイクルガラス(またはガラス自体)への理解を深めて頂けるよう、かなり詳細にメリット、デメリットを記載しました。興味のある方はどうぞ。>
溶解する前の蛍光灯リサイクルガラス
蛍光灯リサイクルガラスから生まれた グラスたち

理由①

「吹きガラスの作業をするのに比較的適した性質のガラスであること」

吹きガラスはガラスを高温で溶かし、ガラスが柔らかいうちにガラスの形を形成します。
ガラスといっても実は千差万別!
主材料が珪砂であることは同じですが、添加成分によって性質はずいぶん変わります。

例えば、ホウ素を添加すると耐熱ガラスになります。
(ただし、耐熱ガラスは溶解温度がかなり高いため、工芸用のガラスには不向きです)

吹きガラスにとって重要なことの一つは、「足が長いこと」です。
この「足が長い」とは、専門用語です。
ガラスは溶解炉から巻きとられた瞬間から温度が下がり始め、作業しているうちに硬くなります。完全に冷める前に再加熱して作業しての繰り返しです。
この加熱した後、硬くなるまでの時間が長いことを「足が長い」と言います。
あまり「足が短い」と作業を少しするとすぐ硬くなってしまいます。

飲料用などのビンもリサイクルされていますが、工場で型に入れて大量に生産するために早く硬くなる(足が短い)配合のガラスになっています。(溶かして型に入れたら、次を作るため、早くその形で固まってほしいということです)そのため、吹きガラス用のガラスとしては作業性が悪いのだそうです。

蛍光灯リサイクルガラスは、実際に作業してみたところ、工芸用のガラスよりは足が短いです。しかし、少し短いけれど作業に問題ないレベルです。(蛍光灯のガラスも工場で作られますが、ガラスが薄いので冷めるのが早く、硬くなる配合をする必要がないのでは・・・と私は思っています)

理由②

「リサイクルを通じて社会に貢献できること」

日本では蛍光灯の適切な処理システムの構築が遅れています。微量ですが、水銀を含む蛍光灯がゴミ処理場に埋め立てられている現状があります。(本来は法整備をきちんとしなければいけません)
(※南国市の蛍光灯の処理は北海道にある野村興産株式会社に委託し、リサイクルされているとのことです。高知県の各自治体はそこに集約しつつあるとのこと。2013.3.27市役所環境課にて資料を見せて頂きました。)
 
この工房では、株式会社フジゲンの徳島県にある工場で処理された蛍光灯リサイクルガラスを購入しています。詳細をお知りになりたい方は、株式会社フジゲンのホームページをご覧ください。(隣の県、徳島にある工場から材料を取り寄せられるので、輸送コスト(CO2)も少なくて済みます。)
フジゲン ホームページ http://www.fujigen.jp/

水銀はきちんと処理すれば、全て取り除くことができます。
(リサイクル処理の工程については実際に工場に行って確かめてきましたので、下の項目の「工場見学」をご覧ください。)

大事なのは処理→リサイクルの流れを作ることです。
そのことに少しでも協力できないかと考えています。

理由③

「バッチと比べても実質的に低コストで運用できること」

ガラスの原料のバッチは結構安価です。
なぜなら原料のほとんどは珪砂、つまり砂なんです。
従って、材料費はリサイクルガラスの方が高くなってしまいます。

しかし、費用がかかるのは光熱費!
溶解炉のガラスは、基本的に24時間溶かしていないといけないので大変です。

バッチはまだガラスではないので、溶解するのに作業温度より100℃くらいは温度を上げて反応を促進してガラス化する必要があります。(この作業を煮上げと言います)
バッチの代表、Aスキは溶解するのに1380℃まで温度を上げるのが推奨条件です。

それに対してリサイクルガラスは、すでにガラスになっている原料(カレットと呼びます)を溶かすので、単純に作業温度まで温度を上げればいいのです。つまり煮上げの必要がないのです。この工房では作業時の溶解炉の温度は1200℃で、それ以上温度を上げることはありません。

他の工房からのデータですが、このことによって、光熱費が20%ほど削減できるという結果も出ているようです。
つまり、材料費の増加分よりも光熱費の削減分の方がかなり大きく、実質的に低コストで運用できるのです。

さらに、最高温度が低いので、当然溶解炉への負担も少なくて済みます。
ガラスは溶解炉の中の壺の中に入って溶けています。バッチだとこの壺をアルカリ成分が浸食していくので、3か月ほどで壺交換するのが普通です。(壺代もばかになりません)
しかし、カレットだと浸食が少ないので1年くらいは大丈夫なのではと考えています。(これは、この溶解炉での実績が待たれるところです)

工場見学

2013年2月18日に蛍光灯リサイクルガラスを処理している工場の見学をさせてもらったので、その結果をまとめます。

工房で使うガラスがどのように処理されているか、自分の目で確かめておかなければならないと考え、フジゲンさんに工場見学をお願いすると快諾して頂きました。

一番の着目点はやはり水銀の処理です。
データでは水銀は完全に取り除かれていることは見せてもらっていましたが、今回処理の流れを実際に見せてもらうことで納得できました。

いくつかの処理の工程があるのですが、決定的なのは水銀の沸点が約357℃だということです!最後の工程でカレットの温度を500℃以上に上げて、残っている水銀を全て気化させて取り出すのです。(さらに言うなら、工房でガラスを溶解するときは1200℃まで温度を上げるので、間違いなく水銀は残らないわけですが)

・処理工程の考え方の正しさ
・処理後のガラスの認定機関での成分分析の結果

この二つがそろっていることが確認できて安心しました。
大量の処理前の蛍光灯
処理の最終工程の機械
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